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背景 >
種子島の西に、衛星のように寄り添う小さな島がある。
30年ほど前までサトウキビ畑が作られ、トビウオ漁が行われていたが、
開発業者による買収が進んで、無人島になった。
島の99%を所有する開発業者は、馬毛島に人々が自由に出入りすること
を拒み、見張りを立て、軍事施設を誘致するために、森林法などに違反す
るおそれのある乱開発を進めた。
2011年6月、防衛省は日米安全保障協議委員会で、馬毛島を太平洋の
硫黄島に代わる恒久的な米軍・空母艦載機の離着陸訓練の移転候補地にす
ると明記。種子島・屋久島の1市3町は反対をつよめ、候補地からの取り
消しを求めている。
馬毛島には、固有種のマゲシカをはじめ、鳥や虫、魚、貝、ウミガメなど
陸と海に豊かな生態系が広がっていた。発破による採石や抜根によって森
がえぐられ、海には土砂が流れ込んだ。周辺の人々は、基地移設の反対、
賛成に分断された。